阿蘇の虎舞用篠笛
阿蘇市小倉地区に伝わる虎舞を地元の山田小学校の児童が毎年10月の運動会で演じている。虎舞とは獅子舞のことでこの地方ではそう呼んでいる。
三味線もはいる賑やかな舞いで、もちろんメロディーの主役は篠笛だ。この地方に伝わる篠笛は独特のもので、中栓は使わず節をそのまま使う。歌口も小さいので全体に音が低くなる。そのため指穴の位置が普通の篠笛より全体に歌口に近くなっている。
音階をよく調べてみると古典調・六本調子篠笛に近いことがわかった。写真の一番上が阿蘇市小倉に伝わる虎舞用篠笛で、大塚竹管楽器の「明笛」に似ているところから中国や韓国から伝わった篠笛がこの地で虎舞用に使われてきたのだろう。管尻の飾り穴や管中央の響き穴(この写真の笛にはない)などは「明笛」に非常によく似ている。
この前、天草の祭り笛を見せてもらったがやはり虎舞用篠笛と作り方がよく似ていた。こちらは八本・九本調子篠笛であった。
夏休み前から山田小学校の先生から児童が吹く虎舞用篠笛を依頼されていたがどんな形にするのか方針が決まらなかった。昨年度までは児童はリコーダーで虎舞のメロディーを演奏していたが、地元の虎舞の指導者がリコーダーでは虎舞のメロディーが演奏しにくいところから、アルカイック工房のリコーダー式篠笛を採用しては、ということになり、相談しながら何本か試作した結果、小学生でもアルカイック工房のリコーダー式篠笛が吹けることがわかり、地元に伝わる虎舞用篠笛と同じ調子の笛を作ることになった。
児童が虎舞のメロディーを演奏するのに、地元の虎舞を演奏する指使いと同じ運指で演奏すれば伝わってきた虎舞のメロディーそのものであり理想的である。子供たちが大人になって虎舞の篠笛を演奏する時にも同じ運指で演奏できることになる。
昨日今回納品分の15本の虎舞用リコーダー式篠笛が完成した。26日には山田小学校に届ける予定である。
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